研究開発

研究開発について

私たちのγ-リノレン酸の研究は1つのアブラから始まりました。
難治性の痒みである「透析患者の痒み」
少しでも透析患者さんの痒みを軽減させQOL(Quality of Life)の向上のために。

透析掻痒症への試み
欧米ではγ-リノレン酸は、アトピー性皮膚炎の治療薬として使用されていました。
このγ-リノレン酸を難治性の掻痒症である「透析患者の痒み」有効ではないかと考え、透析患者さんへの摂取を試みました。
透析患者の痒みの苦痛は患者本人にしかわからず、しかも当時は原因がよくわからないこともあり、なかなか治療が難しいものでした。

透析患者の掻痒症に対するγ-リノレン酸の有効性
腎と透析  Vol.36 No.4(1997年)
〈論文概要〉
主成分であるγ-リノレン酸含有油脂とビタミンEを添加したカプセルを使用し、痒みを訴える透析患者に投与した。
所見の記録は透析実施日に掻痒、紅斑、浸潤、掻爬痕、苔癬化の6項目について行なった。
掻痒を訴える透析患者にγ-リノレン酸含有油脂のカプセルを使用した結果、改善されたことが認められた。
〈学会発表〉
1994年 第4回痒みシンポジウム
「透析患者のそう痒に対するγ-リノレン酸の有効性」
1997年 第42回日本透析学会
「慢性維持透析患者の掻痒症に対するγ-リノレン酸(GLA)の効果
1998年 第43回日本透析学会
γ-リノレン酸(ムコール抽出)による痒み低下機構の検討
〈特許〉
発明の名称
人工透析患者の皮膚そう痒症治療組成物及び副甲状腺機能亢進症治療組成物
特許第3816545

血球流動性への試み
透析患者は血液中の血球(赤血球、白血球)の流れが悪いことがわかっていました。
透析を行う際に使用する透析膜(ダイアライザー)を通過する際に白血球や赤血球が物理的な刺激を受け、各血球が活性化されることが痒みの原因の1つではないかと考えました。赤血球や白血球の膜が柔らかくないと抹消血管をスムーズに通過できません。
腎臓は細い血管の集まり、血球が柔らかくないとその血管を通過できず詰まってしまい腎機能の低下につながります。
現在、よくテレビで耳にする慢性腎臓病(CKD)も腎機能の低下によるものです。
糖尿病の3大合併症である「糖尿病性腎症」「網膜症」「糖尿病性神経障害」も血液がスムーズに流れないことは血球の硬さに問題があると考え、研究を重ねました。
血液透析患者に生じた糖尿病性壊疽にγリノレン酸の内服が有効であった症例
西日本皮膚 Vol.64 No.5(2002年)
〈論文概要〉
糖尿病性腎症により維持血液透析を受けている患者に生じた足底部に生じた壊疽に対してγリノレン酸とビタミンEを混合したカプセルを使用し、経過を観察した。
難治性の潰瘍であったが、カプセルの使用及び抗生物質投与等の治療を続けた結果、上皮化し、肉芽形成を認めた。
〈学会発表〉
1997年 第7回痒みシンポジウム
血液透析患者の痒みと血液流動性について

1997年 第22回日本微小循環学会
血液透析患者における赤血球変形能に及ぼすγリノレン酸の有効性

1998年 第23回日本微小循環学会
血液透析患者におけるγリノレン酸投与前の白血球の膜流動性の変化と膜脂肪酸組成の変化
〈特許〉
発明の名称
血球流動性改善剤
特許第4473968号

糖尿病への試み
近年、2型糖尿病患者の多くに非アルコール性脂肪肝を発症するケースが報告されています。
非アルコール性脂肪肝の増加の原因としては、食生活の変化や運動不足からくる肥満、糖尿病患者数の増加などの要因がある中で、糖尿病から脂肪肝になる過程に脂質代謝と糖代謝が密接に関与していることから、どのような脂肪酸が脂肪肝の増悪につながるか?などの研究を進めています。
<発表概要>
本研究では、KK-Ayマウスに不飽和度の異なる脂肪酸含有食を自由摂取させて、肥満と糖尿病を誘起し、脂肪酸の違いが肝臓の脂質代謝関連遺伝子の発現量にどのように影響を与えるかについて検討を行った結果、
・糖尿病マウスの肝臓の脂肪蓄積量の増加は、lipogenesis(脂肪生成)及びlipid uptake(脂質の取り込み)の亢進が関与していることが示唆された
・ACD-1遺伝子発現と肝TG量には強い正の相関を認めるが、その経路にはSrebA1cとCD36の2つの経路を介していることが示唆された
・中でも必須脂肪酸欠乏食は著しく糖尿病マウスの脂肪肝を増悪させた
との発表を行いました。
<学会発表>
2018年 第91回日本生化学会
2型糖尿病モデルマウスの脂質代謝に及ぼす食餌脂肪酸の影響

2019年 第71回日本ビタミン学会
2型糖尿病マウスの脂肪肝発症に及ぼす食餌中脂肪酸の影響

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